こんにちは、Life&Workの石川です。
今回はカイロプラクティックのお店の敷地内に計画中のちいさな小屋についてのレポートです。
このプロジェクトは、先日参加させていただいたイベント「心と体と食を整え五感を磨く」の中で私たちが開いた建築相談会でご相談いただいた物件でした。
お施主さんは、カイロプラクティックを経営されているご夫婦なのですが、整体などの施術以外にも、ヨガのレッスンや体にいい料理教室、心のケアなども含めた心と体のトータルケアをこれから幅広くやっていきたいということで、
そのための足がかりとなるレッスンができるようなスペースをつくりたいというご相談です。
調べてみると、この敷地にはあと10㎡ちょっとしか店舗としての機能の建物を建てられない(建築基準法上の問題)ということで、じゃあ建築確認申請のいらない、10㎡以内に抑えましょうということでサイズは決定。
こちらが敷地です。
敷地には既存の住宅兼店舗が建っているので、その周りの庭や駐車場などを利用して建てられそうな場所を考えつつ、どんな形にするべきか検討するところから始めました。
当初お施主さんからは、既存建物東の庭(写真の右手前)になっている場所に建てられないかというお話があったのですが、この敷地の地域には外壁後退(1m)という決まりが有ることが分かりまして、想定の場所では難しいかもしれないということになりました。
外壁後退(1m)とは、敷地境界線から1m以上離したところから建物を建ててくださいという決まりで、隣地に対してある程度スペースをとって建物を建てるような決まりをつくることで、各戸の快適性を確保する目的や景観に配慮した街並みをつくろうという趣旨があります。
ということで今回の敷地で言うと、道路との境界線から既存の建物までの距離が4mしかない庭に建てようとすると、3mしか横幅がなく、工事のことを考えると2mちょっとの間口のものしか建てられないということなのです。
2mの間口で用途としてきちんと成り立つのか。
あるいは建物前面の駐車場を一部減らしてそこに建てるべきか。形や配置をみながら検討していきます。
外観のイメージとしてはこんな感じかなぁ
今回のプロジェクト、小さな建物ですが私たちにとってはとてもわくわくするプロジェクトです。
小さな空間にはなにか特別な意思が宿るような気がします。
例えば、千利休によってつくられた茶室の傑作”妙喜庵待庵”はたった2帖の空間でお茶を味わう場所です。
他にも私が印象に残っている物で言えば、ドイツのヴィトラ社の敷地内にある有名建築家レンゾ・ピアノの小屋。
2.4m四方の中にトイレとシンクまで着いた住空間です。
どちらも、ちいさなちいさな空間なのになんて豊か!と思います。
いらないものをそぎ落とし、必要なものをぎゅっと凝縮した空間なので、使う方の気持ちもシンプルに潔くなりそうな気がします。
バックパックひとつで一年間旅をした私なんかは、日常生活はカバンひとつでこと足りるということをその時実感しましたが。これはあんまり関係ないですね。
そして今回の建物には純粋に心と体の癒しの空間というテーマがあります。
何かの目的のためだけに作られた空間というのは、これもやはり強い力を持つような気がします。
また例えになりますが、香川の地中美術館の中にモネの展示室があります。
そこは、後にも先にもモネの”睡蓮”を飾り続ける空間なので全てがその絵に合わせて作られているわけです。
あの部屋に入った時のモネの絵の美しさは一生忘れないだろうな。
と、なんだか今回はいろいろ無駄に語ってしまいましたが、そんな全然偉そうなもんではないです。
心地の良い小さな小屋つくります。
楽しみです。これからどうなっていくかな。